365 Portland

2 利益は全額寄付のNPOパブ「Oregon PH」

ポートランド・OPHパイント1杯で世界を変えよう。ビール業界初のNPOオレゴン・パブリック・ハウス。

ビールを飲む度に子供達の教育の機会が増える、あるいは街の環境が整備されていく。純利益をすべてチャリティへ寄付するというまったく新しいコンセプトのパブ、NPOオレゴン・パブリック・ハウス。ビールを注文したら、寄付先はリストから自分で選ぶことができる。

地元の美味しいビールを飲んで食事ができ、近所の人々が楽しめるフレンドリーな場を提供し、それがそのままコミュニティの充実や発展につながる。そんな素敵な場所が可能だなんて、いったいどうして思いついんだろう。いや、今となっては、なぜ誰も思いつかなかったのだろうという気さえする。

オレゴン・パブリック・ハウス(OPH)の創設者ライアン・サアリがOPHのコンセプトを考えついてから実現まで3年かかっている。そのうち1年半が店の内装に費やされた。OPHが入っているのは100年以上の歴史ある建物で、2階には「ビレッジ・ボールルーム」というNPOのイベントルームがある。その1階を40人もの地元コミュニティのボランティアが集まり、工事やペイントを手伝って作り上げたという。以下はライアンとの一問一答。

ポートランド・OPH寄付金

これまでの寄付金の合計額が書き込まれる黒板

 この場所を選んだ理由は?

「僕らは「近所のパブ」になりたいと思っていたから、繁華街の通りに面した場所や商業地区でやりたくなかった。そしたら、たまたま僕の家のすぐ側にこの空き物件があって、それがちょうど良くぴったりだったんだ」

 OPHは地域のボランティアの手で形になったと聞いている。どうやって人を集め、また、なぜその人たちは来てくれたの?

「人と会っていくうちに話が広まって、手助けしたいっていう人たちがどんどん出て来たんだ。その動機は人さまざまだと思う。ポートランドはすごく多様性に富んだ街だけど、何と言っても特徴的なのは住人のコミュニティ意識が高くて、自分たちの街を良くするために何かしたいと思っているってこと。僕らは自分たちを「シニカル・オプティミスト」って呼んでる。みんな世界がいかに悲惨でひどいかと悲観的だけど、同時に世界を変えるために自分たちが出来ることがあると楽観的に考えてもいる。そこが僕がポートランドが好きなところなんだよ」

チャリティの考え方は思慮深くまじめなものだけれど、人々が一杯飲みに行くのはリラックスする時間を楽しむため。そうした”利他主義”と”快楽主義”を融合させようというのがOPHの試みだという。店内はバーカウンターを中心にラウンジスペースや子供のプレイコーナーもあり、のんびりした空気が全体に流れている。ビールももちろん充実している。常時オレゴンを中心に12種類くらいのタップが入れ替わり、Bailey’s Taproomと同じデジタルポア社のビール・ダッシュボードで管理されている。

 現実にビールパブを回すにはビジネス的にも色々考えなくちゃならない訳だけど、こうしたNPOを実現できたのはどうしてだと思う?

「ここを始める時、自分の知識が全然足りないことはよく分かっていた。だから、いろいろな人々とパートナーを組んだんだ。たとえば建設業者、会計士、レストランビジネスに従事している人々とか。こうした人たちに協力を仰ぐことに躊躇はなかった。彼らの力があったからこそオープンすることが出来たし、軌道に乗せることも出来たんだと思う」

 全米のあちこに同じコンセプトのパブが増えてきているようだけど、そういう流れをどう思う?

「いいね!このコンセプトが真似されて広がるといいと思っていた。だって、それが僕らのビジョンの一つでもあるんだから」

スタッフも多くがボランティアで、OPHで4時間働くとパイント1杯とミールが提供される。なかなかうれしい報酬ではないだろうか。ポートランドは人口当たりのNPO数が全米で最も多い都市。その土壌から生まれた、これぞポートランドを体現するようなビールパブだ。

The Oregon Public House 700 NE Dekum St. Portland, OR. 97211 oregonpublichouse.com

ポートランド・OPH店内

パイント1杯をゆっくり飲みながら仕事をする人も

 特集「ポートランドのビール屋」その3 Breakside Breweryを読む →

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