365 Portland

1 いつも違う20種類のタップ「Bailey’s」

ポートランド・ベイリーズ
いつでも飲んだことのないビールが待っている、
ベイリーズ・タップルーム。

ポートランドのタウンタウン、ホテルが立ち並ぶブロードウェイ沿いにあるベイリーズは、オンタップのローカルクラフトのみを提供するパブだ。夕方には空いている席を確保するのが難しい盛況ぶり。椅子がなくても誰も気にもせず、デジタルのビール・ダッシュボードをうれしそうに眺めて、今日の一杯を選んでいる。

ここにあるのは20種類のタップビールのみ。オレゴン産を中心に、膨大な種類の中から厳選したブランドをそれぞれ1バレルだけ仕入れる。20本並ぶタップハンドルの上の大きなデジタル・ダッシュボードには、それぞれのビールの情報と樽内の残量が表示されている。売り切れるとその銘柄は終了して次の別の銘柄に交換され、「ただ今、入りました」というマークが点灯する。

だからいつ行っても違う20種類と出会うわけで、そこで聞いたこともないような名前のビール(正直、ほとんどが知らない銘柄)を飲み、その地域のことや製造のプロセスを想像したりする。

ポートランド・ベイリーズ

オーナーのジェフ。デジタル・ビールダッシュボードの前で

ポートランドはスマートグロウス都市。最高のビールシーンもある。

地元のビールファンにされ支持され、開店して6年目にしてポートランドの トップパブの一つとして必ず名前が挙がるほど定着したベイリーズ、オーナーは以前は南カリフォルニアでシティ・プランナーをしていたジェフリー・フィリッ プ。30歳の時に仕事を辞め、一人でポートランドにやって来てベイリーズを開店したという。そんなジェフに話を聞いてみた。

シティプランニングの仕事をしていたそうだけど、ポートランドでビール・ビジネスを始めたきっかけは?

「当初はサンフランシスコ周辺でパブを開くことを考えていたんだけど、シティ・プランニングを勉強している時、ポートランドがかなり「スマート・グロウス(自然環境を保護して、都市を多様で魅力的なコミュニティとして成長させるための戦略。ポートランドはスマート・グロウスを実施し、成功例として知られている)」な都市であることを知って興味を持ったんだ。それにポートランドは酒税や物価が安いこともあって、何かとスタートしやすかった。店の立地を考えたりする上でシティ・プランナーをしていたことが役立った面はあるかもしれない。でも、まあ、ビールの世界はまったく違うものだけどね」

一人見知らぬ土地に来て、まったく違う世界へ。すごい挑戦だったと思うけど、どういう情熱があったの?

「独身だったし、人生でそういうことの出来るタイミングじゃないかと思ったんだ。それにビールがすごく好きだったことが、違う世界に飛び込んでチャンスを見つけることに繋がったんだろうね」

あなたがベイリーズを始めた時、ポートランドでは既にビールがブームになっていたし、成功しているパブも結構あったはず。そこに参入するのに勝算があったの? 実際、今の成功はどういうものだと思う?

「そう、確かにポートランドのビールシーンはかなり確立されていたね。でも、まだまだビールバーの余地はあると思った。だって当時でも20種類以上のビールを出す所がざっと5カ所くらいはあったけど、今はその倍くらいはあるでしょう」

今あるビールの種類と残量がライブで一目で分かるデジタル・ダッシュボードはウェブサイトやソーシャルメディアともリンクしていて、いつもリアルタイムでどんなビールがあるか分る仕組み。ベイリーズに来たら、まずこれを眺めて飲むビールを決める。ジェフとカスタマーとのコミュニケーションもここから始まるのだ。

ベイリーズは観光客向けの立地のようなのに、実際は近所の常連さんがやってくるネイバーフッド・バーの雰囲気がある。それはどうしてだと思う?

「場所については、ここがたまたま空いてたってことなんだけど、本当にラッキーだった。この場所は観光客と常連客の両方が来てくれるから。住んでる人もいるし、オフィスも、ホテルも、みんな歩ける距離にある。それに、始めてから6年間、常連の中には週に何度も来てくれる人がいて、そういう人達が気の置けない雰囲気をつくってくれてるんだと思う」

日本のビールファンで、ポートランドに興味のある人に一言メッセージを。

「ぜひ、来てほしいな。ポートランドには素晴らしいビールシーンがある。もし本当にビールが好きだったら、ここで最高のひと時を過せると思うよ」

ポートランド・ベイリーズ

明るく、ラスティックで落ち着ける店内

ほんとうのビール好きのためのタップルーム。

ベイリーズには実にいろんなタイプの人がやってくる。ツーリストのグループやビジネスマンもいれば、常連風らしき人がふらりと立ち寄っていく。ラスティックだけど明るくてリラックスした店内。現在、ベイリーズには食事のメニューはない。オープン当初は軽い食べ物も出したようだが、ビールに集中するために取り止めたという。キッチン設備やコックを置かないことでコストを抑え、ビールも廉価に出すことが出来るようになった。幸いお隣に評判のいいメキシコ料理店があり、お腹の空いたら出前することができる。レストラン側にも都合のいいことでもあり、なかなかいいコラボ関係が築かれているようだ。

ベイリーズはタップルーム。それぞれのタップビールをじっくり楽しむ場所だ。明日どんなビールがあるのか通うのが楽しみになる、ベイリーズ・タップルーム。ビールファンにはたまらないビールパブである。

Bailey’s Taproom   213 SW Broadway  Portland, OR 97205 www.baileystaproom.com

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