365 Portland

「緑あふれる自由都市 ポートランドへ」番外編 ②

IMG_2823のんびりネイバーフッドの古いソーセージ屋さん。

去年、ガイドブックで紹介できなかった場所の一つ、東南地区のウッドストック。スティーブ・ジョブスも通ったリード・カレッジから東に1キロ程行ったところにある。3年くらい前まで取り立ててどうということもなかったが、ポートランドが人気都市になるに連れ注目され始めたネイバーフッドの一つだ。

その中程にOtto’s Sausage Kitchenという昔ながらの加工肉が中心の食料品店がある。この地に根付いて約90年。いつも店先で渦巻き型の巨大なフランクフルトソーセージを炭火で炙っていて、店内には肉売場の他、パンやワイン、デリではOtto’sのハムやソーセージを使った軽食を出している。

店内では地元民らしきおじさん達がのんびりランチを食べていた。

店内では地元民らしきおじさん達がのんびりランチを食べていた。

ここには最近の「ヒップでトレンドな」ポートランドの姿はまったくない。かつてテレビで見たアメリカのドラマのような色褪せた風景ーーーウッドストック自体がそうした少しくすんだ感じのコミュニティだった。それがポートランド文化を象徴するといっても過言ではないNew Seasons (ポートランド発のローカル専門スーパーマーケット)ができ、その前後から人気ネイバーフッドの仲間入りを果たした。ちなみに、このNew Seasonsができると周辺地値が上がると言われており、事実、このエリアはどんどん住宅価格が上昇している。

日曜の午後、ソーセージが焼き上がるのを待つおじいちゃんとお孫さん(たぶん)。

日曜の午後、ソーセージが焼き上がるのを待つおじいちゃんとお孫さん(たぶん)。

Otto’sに話を戻すと、ドイツからの移民だったオットーさんはまず隣のワシントン州の海沿いの町にOtto’s Meat Marketを開いた。ウッドストックに移ったのは1920年代。以来、家族代々に渡ってドイツのオリジナルのレシピを受け継いできた。今時の加工肉はシャルキュトリーなどとなぜかフランス語で呼ばれているが、Otto’sはあくまでもヴルストの製法。ソーセージの種類は多く、トラディショナルなクオリティを維持しており、アメリカのベスト・ホットドッグ・コンテストにノミネートされたこともあるとか。現在はオットーさんのひ孫の代がソーセージ作りをしているらしい。

OTTO'S肉売場の気のいいあんちゃん達。Ottoさんのひ孫かな。

肉売場の気のいいあんちゃん達。Ottoさんのひ孫かな。

3年程前には店内と外壁にマイケル・バージ・スミスというミュージシャンでもあったミュラリスト(*)がアルプスの風景を描いている。その素朴な画風がOtto’sの「古臭さ」と妙に合っていて、まるで元からそこにあったかのようだ。(*壁画を描くアーティストのこと。ポートランドには壁画がたくさんある。ミュラルについての記事はこららへ)。

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ぐるりとスイス・ドイツアルプスが描かれた店内。ワインやビールもたくさん置いている。

ブタの看板が目印。ブタのアイコンはよく使われるけど、何と言うかそそられる。

ブタの看板が目印。ブタのアイコンはよく使われるけど、何と言うかそそられる。

最近のウッドストックには市内に何店舗もあるGrand Centralのベーカリー・カフェやDouble Mountain Breweryのビール & ピザレストラン(Hood Riverの有名店)などが参入。代わりに地元のダイブバー(いわゆる近所の一杯飲み屋)が消えている。新しい店ができることで活気づくのは決して悪いこ とではないけれど、元からのネイバーフッドらしさも維持していってほしい。

Woodstock通り。手前はネイバーフッドの定番Ace Hardware。街に金物屋が必ず一軒はあるのがアメリカ。この店舗ではスケポーまで売ってる。コミュニティを反映してるのかな? その奥はGrand Centralのカフェ。

Woodstock通り。手前はネイバーフッドの定番Ace Hardware。街に金物屋が必ず一軒はあるのがアメリカ。この店舗ではスケポーまで売ってる。コミュニティを反映してるのかな? その奥はGrand Centralのカフェ。

Otto’s のように地元の日常づかい店の存在は、ローカルの求心力としても貴重だと思う。NYにはKatzというユダヤ系の有名デリがあるが、Otto’sはそこま で「気合い」は入っていなくて地元民のための普通の肉屋さんだ。旅行でポートランドに来て、わざわざ行く人は、まあ、あまりいないだろうな。ソーセージを 頬張って普段着の街をぶらぶらして、金物屋でお土産を買うなんてのも結構おもしろいと思うんだけど。私はそんなのがかなり好きです。

Otto'sの近くにあるRed Fox Vintageは私のお気に入り店。キッチュなコレクティブルズがいっぱいで、宝探し気分で楽しめる。

近くにあるRed Fox Vintageは私のお気に入り店。キッチュなコレクティブルズがいっぱいで、宝探し気分で楽しめる。

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Woodstock Parkはそれ程広くはないけれど、なかなか素敵なネイバーフッド・パークだ。地形に変化があるのがいい。

4 comments for “「緑あふれる自由都市 ポートランドへ」番外編 ②

  1. Conomi
    03/08/2017 at 05:29

    こんにちは

    いいですね、お肉屋さん。
    町に普通にある八百屋さん、魚屋さん、お豆腐屋さん・・・
    (日本ですけれどね(笑))
    そういう風景が日本でもどんどん消えて行ってしまっていますね。

    わたし、肉屋の娘なんです。
    残念ながら数年前店売りはやめてしまいました。
    商店街に生まれ育ったわたしには、ちょっと寂しかったです。
    心ひそかに復活を考えていますが(笑)

    わが屋は、兄が肉屋を継いでいるのですが、
    わたしが学生の時、父が「ドイツにソーセージの留学しないか」と
    言ったことがあります。
    兄が精肉売り、わたしが加工品作る。
    父のちょっとした夢だったのかもしれません。

    しかし当時のわたしは全く興味がなかったので、
    「絶対やだ」と言いました。

    わが屋も祖父が始めた肉屋を孫の兄が継いでいますが、
    この先はありません。
    Otto’sさんの写真を見て、羨ましく思いました。
    「やっぱりお店っていいなぁ~」

    • 百木
      百木
      03/09/2017 at 09:07

      conomiさんのお家は、お肉屋さんだったのですかー。ドイツにソーセージ留学なんて素敵ではありませんか!でも、女子学生時代には確かに興味はないかもですよね。その価値が分るのは人生ある程度進んでからで(笑)。

      最近の日本の商店街はウラ淋しいですが、天婦羅屋さんとかお団子屋さんとか頑張ってるのをみると、つい買い物してしまいます。conomiさん、まだ遅くないかも。いかがですか、日本のOTTO’S(笑)。いや、マジメな話、女性のフードビジネスはパンとかスイーツとか、サラダ系になりがちですが、デリケートな感性で作る美味しく健康的なソーセージって話題になりそうです。アイコンは、やっぱりブタかなー。

      • Conomi
        03/10/2017 at 05:13

        百木さん、こんにちは

        百木さん「ありがとうございます」。
        百木さんのメッセージは、「笑顔」になっちゃいます。
        「やっちゃおうかな」(笑)と思っちゃいます!!

        わたしにはビーガンやベジの友人、知人が結構たくさんいるんですが、
        時々自分の立ち位置を考えてしまう時がありあした。
        でも、百木さんの「365portland」の記事を読んでいると、
        「そういう事はどうでもいいや!!」と明るい気持ちになれます。
        すごく元気な気持ちになれます。
        ありがとうございます(^^)

        ぶたさんのアイコンいいですね。にひっ。

  2. 百木
    百木
    03/10/2017 at 11:31

    conomiさん、食生活の話をすると、実はね、私もずっとベジ的でした。年齢と共に赤身肉は食べなくなり、魚と野菜中心、それも自然な嗜好でそうなってました。健康に関する諸説で言えばほぼ「理想的」なはずだったのに、大病を次々に経験。結局、食物は直接的な病気の原因になるとは言えないし、また、何を健康的というかは一概に決められないと思い至りました。
    私の場合とにかく筋量が心配だったので、動物性たんぱく質を摂る食事に切り換えました。焼肉重とか他人丼とか(笑)。これが結構好きになって、そしたら力も出てきて、だいぶ健康的になることができました。

    ふと思い出すのは、肉を食べない頃ヨーロッパ旅行で出た朝ごはんのソーセージのこと。興味が湧いて一口食べてみたら、すごく美味しくて全部食べちゃったんです。その日は身体にどんとエネルギーが入った気がして、やっぱり肉って元気出るのかなーと感じましたね。

    ポートランド、なかなかいい肉屋さんがありますよ。値段もそれなりですが、いい肉はやっぱりうまーいもんですね!

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